
千葉県を拠点に活動するはぎの社会保険労務士法人では、140社を超える顧問先企業の労務管理のサポートを行っています。近年では自社のDX化にも積極的に取り組んでおり、多様な働き方に対応しつつ、業務効率を向上させるための施策を実施しています。かつてはExcelによる手作業で勤怠管理を行なっていた同社ですが、現在はキンコンを採用し効率的で運用しやすい仕組みになっています。システム導入をリードした舘氏は「数ある勤怠管理システムの中からキンコンを選んだ決め手はkintoneとの連携が可能であった点」と話します。
本事例では社労士事務所ならではの視点から、キンコンとkintoneを活用した勤怠管理の取り組みと、その導入プロセスや効果についてご紹介します。
| ポイント |
| kintoneと連携してキンコンを利用し勤怠データを応用的に活用 |
| 有給申請や有給休暇管理簿の自動作成まで有給管理を一元化 |
| 社労士法人の知見を活かし、就業ルールの明文化とシンプルな運用で円滑な社内浸透を実施 |
目次
- 導入背景(「kintone連携が可能な勤怠管理ツールであること」が決め手)
- 利用方法1(kintone連携の活用と勤怠データを人員配置や業務分担に利用)
- 利用方法2(法令に準じた有給休暇管理簿の作成を自動化)
- 社内浸透(シンプルな運用とkintoneによる情報共有を実施)
- 導入効果(自社にマッチした勤怠管理とkintoneへのデータ連携の実現)
- 今後の展開(データ活用の拡大と生産性向上の追求)
導入背景:「kintone連携が可能な勤怠管理ツールであること」が決め手
事業内容について教えてください。
(システム担当者 舘氏)
はぎの社会保険労務士法人は、労務管理に関する専門家として企業の社会保険や労働保険の手続きをサポートを行うほか、給与計算、 助成金の申請、労働問題の解決等、労使双方が働きやすい職場環境を構築するためのお手伝いをしています。
経営理念として、顧問先様の“「文化・仕組み作り」に貢献し顧問先様の労働環境改善を目指す”ことを使命に掲げています。また、「経営者の皆様のリーダーシップが社員の方に響くよう、社員が安心して働けるような職場環境になるよう、労務問題の解決、就業規則の整備、身の回りのちょっとした法律の事など全力でサポートする」ことを大切に日々の業務をおこなっています。
現在の顧問先は140社を超えていますが、それぞれの顧問先に対して担当制を敷くと共にチームで情報を共有することで、きめ細やかかつ安定的なワンストップサービスを実現しています。地域特性や過去のノウハウもあり、建設業界と福祉介護系のお客様からのご相談も多いです。
私自身は社内のシステム担当として顧問先の保険手続き全般と並行して、社内のDX化推進に携わっています。
キンコン導入前の課題を教えてください。
キンコン導入前の勤怠管理は、各社員がExcelシートに自身の勤怠を手入力する方式でした。そのうえで、記入したシートを給与締めの後に印刷して上長に提出するという流れでした。この方法では勤務時間を入力する際に、退勤時のタイミングで出勤時間を遡って計算する必要があったため、正確な記録が徹底されないこともあったかと思います。また当社では、社員が家庭の事情で勤務時間の変更をすることに対して柔軟に対応しているのですが、それには細かな休憩時間の記録の必要があり煩雑な作業になっていました。
さらに、手続き面でも課題がありました。勤怠表が各社員の個別のExcelシートに分かれているため、上長が集計結果を加工して給与ソフトに手作業で取り込む必要がありました。残業申請や有給管理、給与システムへのデータ連携にも多くの時間がかかっていました。加えて、当社の給与支払いサイクルが月末締め翌月3日払いという非常にタイトなスケジュールのため、締め作業の業務負荷は必然的に大きくなっていました。
以前にはこれらの課題を解決するために他社の大手勤怠勤怠システムの導入を試みたこともありました。しかし、機能が複雑だったため社内に定着せず、十分な活用には至りませんでした。
このような状況を前にして、使いやすさと効率性を両立でき、集計作業の時間短縮を実現できるシステムの導入を検討していました。
色々なツールの中でキンコンに決めた理由を教えてください。
キンコンを選んだ一番の理由は、kintoneと連携できる勤怠管理システムだったことです。当社ではkintoneを活用して業務管理を行っているため、勤怠データをkintoneへ自動連携できる点は好都合でした。
キンコンの使いやすさも決め手となりました。特に印象的だったのは、導入前からヘルプや問い合わせ機能を利用できたことです。他社のシステムでは、契約後にしかヘルプを見ることができないケースも多いのですが、キンコンでは事前に詳細な情報を得られたことで、導入の検討がしやすかったです。
また、インターネットで検索した際、口コミサイトのITreviewでキンコンの評価が非常に高かったことも、選択の後押しとなりました。実際のユーザーから高評価を得ていることがわかり、信頼できる勤怠管理システムだと感じたことも大きな理由の一つです。
kintoneはどのような用途で導入し利用されているのか教えてください。
当社におけるkintoneの主な用途としては、まず業務の工程管理が挙げられます。顧問先企業ごとの案件進捗や、各種手続きの状況をkintone上で一元管理することで、業務を可視化しています。
また、kintoneを活用して社員ごとの業務負荷を把握し、必要に応じて適切な調整を行なっています。各担当者が抱えている案件数や作業量をリアルタイムで確認できるため、特定の社員に過度な負担がかからないよう、業務の再分配や支援体制の構築に役立てています。
将来的には売上情報と業務に要した工数・時間を結びつけて、より詳細な生産性の測定を行いたいと考えており、取り組みを続けている段階です。
利用方法1:kintone連携の活用と勤怠データを人員配置や業務分担に利用
キンコンの利用状況について教えてください。
働き方として、社員の基本的な勤務時間は8時間ですが、一部は7時間の時短勤務を選択しています。9:00から17:00を基本的な勤務時間として設定しているものの、始業時間は各自の裁量に任せています。キンコンを活用することで、このような柔軟な勤務制度や多様な働き方に対応した勤怠管理ができています。
多くの社員が家庭との両立を図っているため、リモートワークや中抜けなども認めています。Excelによる勤怠管理がされていた頃は、このような柔軟な勤務形態の記録は非常に煩雑でしたが、キンコンの導入により大幅に改善されました。
勤怠管理の流れとしては、まず社員が日々の打刻を行います。打刻方法はPCやスマートフォンのアプリを利用しています。社員は出勤時と退勤時にそれぞれ打刻を行い、必要に応じて休憩時間や中抜け時間も記録します。月末の締めのタイミングでキンコンから勤怠を申請します。その後、上長が承認を行い、最終的に給与計算に反映されます。この一連の流れがすべてキンコン上で完結するため、以前に比べて大幅に効率化されました。
キンコンのkintone連携の利用方法について教えてください。
当社では、キンコンのkintone連携機能を活用して、勤怠データとkintoneのデータを自動連携させています。具体的には、キンコンでの日々の打刻や申請承認のタイミングで、自動的にデータがkintoneに反映されるようになっています。これにより、リアルタイムで勤怠情報がkintone内に登録されるため、その後、人員配置や業務量の調整といった業務管理にも役立てることができます。
また、kintoneのお知らせ機能も積極的に活用して利用促進を促しています。例えば、勤怠に関する重要な連絡事項や、業務上の注意点などをお知らせ機能で発信することで、全社員に確実に情報が行き渡るようにしています。さらに、新入社員の入社時にもこのお知らせ機能を活用しています。新入社員がkintoneにアクセスすれば、打刻の方法や会社の勤務ルールなどの重要情報を簡単に確認できるようにしています。
利用方法2:法令に準じた有給休暇管理簿の作成を自動化
キンコンでの有給申請や有給管理簿の作成での利用方法について教えてください。
キンコン導入前の有給の申請については、チャットで行い、上長の承認はリアクションマークで確認していました。その後、各個人のExcelの有給休暇管理簿に転記し、さらに給与ソフトにも登録するという方法での運用です。人ごとに異なる基準日に基づく管理や、2年の有効期限の管理も煩雑でしたし、何よりチャットとExcel、給与ソフトそれぞれに入力するという三重の手間がかかっていました。
当社ではExcelで作成していた有給休暇管理簿ですが、法令にそった運用にするには“時季、日数及び基準日”の記載が必要です。給与計算ソフトでのみ有給管理をしている会社をたまに見かけますが、多くの給与ソフトでは残日数の管理のみしか出来ず、有給休暇管理簿の必要項目を満たした帳票を出力することは難しい場合があります。当社でも給与ソフトへの登録とExcelの有給休暇管理簿での管理を行っていたのはこのためです。
キンコンの導入により、有給の付与から申請承認、その後の管理まで一元化され非常に簡便になりました。申請のしやすさから社員は1日有給や半休の申請を気軽に行えるようになり、有給取得率が向上しました。初期設定をしっかり行うことで、“時季、日数及び基準日”が記載された法令遵守の有給休暇管理簿の作成にかかる時間は0分、自動化されたフローでの運用が可能になりました。
社内浸透:シンプルな運用とkintoneによる情報共有を実施
キンコンの社内展開方法について教えてください。
キンコンの社内展開時に特に注意したのは、システム利用時の作業の難しさについて社員目線で考えることです。以前別のツールを導入した際は、機能をフル活用しようとするあまり、逆に使いこなせず、定着に至りませんでした。
その反省を踏まえ、今回のキンコン導入ではできるだけシンプルな使い方を心がけました。例えば、申請経路を複雑に設定せず、必要最小限の承認フローにとどめています。勤怠修正の方法にも工夫を凝らしており、本人による修正が難しい場合には、事前に許可を得た上で労務担当者が代理で修正を行うルールにしています。このように、シンプルさと柔軟性を兼ねた運用にしたことで、社員への浸透・定着もスムーズでした。現在では、全社員が日常的にキンコンを活用し、正確かつ効率的な勤怠管理が実現できています。
キンコンの社内浸透で工夫されたことがあれば教えてください。
キンコンの社内浸透を図る上で、最も力を入れたのはkintoneを活用した情報共有と導線設計です。具体的には、kintone内にキンコン専用のスペースを作成し、そこに重要な情報をまとめました。このスペースには、キンコンアプリのダウンロード用QRコードや、出勤時の丸め設定などの具体的な利用方法を記載しています。特に新入社員が入社した際には、このスペースを確認してもらうことで、スムーズにキンコンの利用を開始できるようにしました。
私たちは、社労士法人として顧客の勤怠管理ツール選定や導入支援を行う時もあります。その時に大事にしているのは導入前の準備期間です。特に、就業ルールの明文化をしっかりすることがポイントだと思っています。ツールを導入する時には、その会社にあった就業ルールを設定する必要があります。ツールの柔軟性にもよりますが、「休憩はどのように取得するのか?」「有休の取り扱いはどうするのか?」など法令、就業規則を順守しながら、かつ規則性のある勤怠のルール作りと勤怠管理システムの設定が必要となります。煩雑に感じるかもしれませんが、ツール導入をきっかけに働き方の見直しができたり、会社と社員の信頼度の向上につながる場合もあります。
当社でもキンコン導入前はうやむやだった勤怠のルールが、キンコン導入をきっかけに明文化され、正しいルール下で社員により安心した働き方をしてもらえるようになったことは大きなメリットだと感じています。また、明確なルールがあることで、キンコンの機能を最大限に使うことができています。
導入効果:自社にマッチした勤怠管理とkintoneへのデータ連携の実現
キンコンの導入効果について教えてください。
まずは、会社のルールに則った統一的な勤怠管理が可能になったことです。以前は個々の社員の知識や経験に依存する部分が大きく、それぞれが勤怠確認に多くの時間を割いていたかと思いますが、キンコンの導入によりシステムがその業務を担保してくれる体制となりました。
また、勤務時間の記録がより実態に即したものになりました。当社では中抜けや時差出勤なども認める柔軟な勤務形態を採用していますが、キンコンではリアルタイムで打刻ができるため、Excel管理時代と比べてより正確な勤務時間の記録が可能になりました。
有給の申請承認がしやすくなったことで有休消化率も向上し、社員の働きやすさ向上の後押しにもなっています。管理面でも、法令に準じた年次有給休暇管理簿が自動化され以前のExcelや給与ソフトへの転記作業が不要になりました。
さらに、kintoneとの連携による業務効率化も実現しました。キンコンのデータがkintoneに自動連携されるため、業務の進捗管理や生産性測定のためのデータ活用がより容易になり、必要な情報を迅速に得られるようになったことも今後のDX化を加速させる大きなメリットであると感じています。
今後の展開:データ活用の拡大と生産性向上の追求
今後の展開について教えてください。
今後はキンコンとkintoneの連携をさらに発展させ、kintoneに自動連携している勤怠データの活用の幅を広げていきたいと考えています。具体的には、データをより多角的に分析活用することで、適切な業務配分を行い従業員の負担の軽減と業務の透明性を高め、人時生産性の向上を実現したいです。
最終的にはシステムによって得られた時間を活用し、顧問先企業に対しては“社員一人一人の強みを活かした真心のこもったきめ細やかで質の高いサービスの提供”、社員に対しては“労働時間の適正管理による働きやすい労働環境の提供”などに繋げていきたいと思っています。双方にとってのWinWinな状態を目指していきたいと考えています。
株式会社ソウルウェアでマーケティング部に所属している中村です。
ソウルウェアでのマーケティング業務のかたわら、副業にもチャレンジしています。またプライベートでは二児の母でもあります。
忙しく働く毎日ですが、より生産性を高くかつ余白も生み出すことができるような働き方を目指して日々精進しています!未来の働き方のヒントを発信していけたらと思います。
