
オンラインがん相談サービス「CancerWith(キャンサーウィズ)を提供する株式会社ZINE(ジン)。コロナ当初のテレワークでは、工数管理をしようと躍起になりガチガチな管理を強いてしまい、社員がゼロになってしまう苦い経験も。
現在は取締役や業務委託しかいない組織ですが「kincone」を利用して互いの勤務状況を見える化し、テレワークやバラバラな勤務時間でも全員が”繋がる”感覚を持って働けているといいます。
単なる勤怠の管理だけではない価値についてお話いただきました。
株式会社ZINE
利用人数:5名
導入時期:2019年5月〜
テレワークでのガチガチ管理による失敗を経験
ー 導入当時のことを教えてください。
仁田坂:kinconeを導入した2019年5月当時は企業のオウンドメディアの支援事業をしていました。例えばコンサルティングをしたり、企業ブログの取材から執筆などを請負ったりですね。
当時、渋谷のオフィスからコロナをきっかけにテレワークに移行したこともあり、働き方は手探りの状態でした。
経営陣として、みんながどのくらい働いていてどのくらい業務量をこなしているか、ということを「管理したい」と思い、束縛を強いてしまっていました。それではテレワークも強みが活かせません。
結果、社員ゼロになってしまった時期もあって、すごく反省したんです。
ー コロナで働き方が多様化し、どの会社も最適な方法を模索していた時期だったように思います。
仁田坂:ちょうどその頃、クロスオーバーするように現在の事業であるオンラインがん相談サービス「CancerWith(キャンサーウィズ)」を立ち上げているところでした。
ー なぜ「がん」にフォーカスした事業だったのでしょうか。
自分の肉親が罹患してしまったり、治療に関する詐欺に遭ってしまったりといったことを通して、「がん」という病気にまつわる”情報の非対称性”をなんとかしたいと思いました。
経済学の言葉にある”情報の非対称性”(売り手と買い手の持つ情報に大きな差があること)は、社会的な問題になっていますが、私個人の大きなテーマでもあります。
例えば、がんについて「これを食べたら治ります」とか「これをすると効果があります」とか、エビデンスのない情報が横行していて、それに多くの人が惑わされています。
現在、日本人は85歳までに2人に1人の割合で罹患しているくらい、がんという病気はすぐそこにあって、決して他人事では済まない状況です。
誰でも、場所や時間に囚われることなく、がんについての相談や正しい情報の取得が気軽にできるプラットフォームを作ろうと思い「CancerWith」をスタートさせました。

kinconeは管理するものではなく、お互いのバロメーターを読むツール
ー kinconeを継続して利用している理由をお聞かせください。
仁田坂:株式会社ZINE(ジン)には私を含む取締役が3名と業務委託2名しかいないので、実は労働時間の管理が必要な人はいないんです。
とは言え労働時間の縛りが無い分、働き過ぎの防止はしないといけないというのがあって、それが簡単に行えるツールは必要でした。
また、いいパフォーマンスを発揮するのに夜型の人も朝方の人もいますよね。
リモートワークをしていると尚更、お互いがいつ稼働していて、いつ声をかけていいのかということが見えにくくなります。
kinconeによって勤務していた時間が可視化されることで、”その人のバロメーターを読むツール”として、とても役に立っています。
ー普段はkinconeをSlackと連携してご利用いただいていますね。
決まった時間で働く必要のないメンバーがリモートで働いているからこそ、それぞれの状況を感じ取れるツールが必要だったんですね。
または「この人は夜に働いてることが多いな」などkinconeに蓄積された情報から、個々の最適な働き方がわかるというか。
仁田坂:そうです。自律分散型の組織を目指し、メンバーのうち役員を含む2名は福岡にいるなど、フルリモートワークで働いています。このように離れたところにいるメンバーが繋がるために必要だと思います。
私は実はSaaSマニアで、そのジャンルのツールはとりあえず全部使ってみるんです。
拡張性とか使いやすさとか色んな点でその中から淘汰していって、最終的にはその”繋がる”感覚が気に入ってkinconeが残りました。
「非同期のコミュニケーション(ビジネスチャットや電子掲示板などを活用して個々が好きなタイミングで情報を共有すること)」において私たちが大切にしているのは、メンバーを信頼し合うこと。それには”管理する”感覚は必要なかったんだとわかりました。
kinconeは非同期で働くために欠かせないツールになっています。
ー 実は、表立って出している情報ではないのですが、ソウルウェア代表の吉田がkinconeに込めた想いの中にまさしく「管理者が従業員を縛りつけるようなツールではなく、管理者も従業員もフラットな関係でいれるようなツール」というものがあります。
サービスを通して、仁田坂さんにその想いが伝わっていることを大変嬉しく思います。
それぞれが自分らしく働ける場所を提供したい
仁田坂:kinconeやソウルウェアの考え方には私もとても共感します。
ZINEでも、それぞれが自分らしく働けることを大切にしているんです。いろんなバックグラウンドを持った方が活躍していますよ。
取締役の二宮は、28歳のときに乳がんを患って今も治療中です。
乳がんの治療って10年ぐらい続くんですけど女性のキャリアを考えていく中で、10年ってすごく大きい。そんな10年をただつらいものにしては勿体ないなっていうのがあって。誰でも本当に好きなこと、やりたいことに好きな場所で取り組むって、すごく大事だなと。
ー 二宮さんはご自身で積極的に情報発信されているようですね。治療しながら好きな仕事を続けられている姿は励みになりますね。
仁田坂:また、CancerWithでアドバイザーとして勤務してくれている看護師の堀川は、もともと日本の大きな病院のがん外来で働いていたエキスパート。
結婚を機にグアドループ島というカリブ海の島に移住しており、今はそこからアドバイザーの仕事をしてくれています。
せっかく素晴らしい経験と資格があるのに、現地では日本の看護資格だと同じようには働けないんです。実はそういった理由でキャリアを諦めている看護師はたくさんいます。
日本とグアドループ島は時差がありますが、がん患者様からの相談は夜に来ることが多いですから、かえって事業面にはプラスに作用しており欠かせない存在です。
kinconeを通して自律分散型組織の強みをひしひしと感じているところです。
ー 提供しているサービスは違えど、大切にしている部分は同じ。
お話を聞けて、kinconeを提供する私たちにとってもすごく励みになりました!

株式会社ZINE
がん罹患者や家族が看護師や社労士などの専門家(認定アドバイザー)に本音で相談できるプラットフォーム「Cancer With(キャンサーウィズ)」を提供。

代表取締役 仁田坂 淳史(にたさか あつし)
1986年生まれ 大分県出身。出版社を経て株式会社ミクシィに入社し紙とWebメディア双方を事業会社で経験。2015年にZINEを創業。メディアグロースを通じ情報の非対称性を解消してきた。母の乳がん罹患、祖母の「80万円のがんが治る水をつくる機械」購入をきっかけに、がんを起因とした情報の非対称性を解決するためCancerWithを立ち上げ
soulwareの広報担当、サリーです!「幸せな働き方」への情報を中心にソウルウェアの様々な取り組み、イベントの様子、たまには雑談などを発信していきます。