
業種:コンクリート製造業、建設業
事業規模:610人
利用用途:
・警察行政手続書類の作成
・関係会社への提出書類の更新と作成(報告書、有資格台帳)
現在創業89年目を迎える會澤高圧コンクリート株式会社は老舗の総合コンクリートメーカーでありながら、常に進化を続け業界異端児として挑戦を続けている企業です。ソウルウェアが受託開発に取り組んでいた時からのお付き合いで、長く製品を愛用してくださっております。レポトンを利用しながら建設業界特有の紙ベースの業務フローを続けつつ、今の時代にあった業務の効率化に取り組んできたストーリーをお伺いできました。
ポイント |
警察署へ提出が必要な紙の書類も1クリックで作成ができる |
レポトンでデータ入力の手間が減り年間265時間が削減できた |
kintoneのデジタルデータを外部に出力時のアナログハブとしてレポトンが必要だった |
目次
- 導入背景(イベントでソウルウェアを知った)
- 利用方法1(取引先への報告書作成業務に活用)
- 利用方法2(警察署へ提出義務のある通行禁止道路通行許可申請書の作成に利用)
- 利用方法3(社員の有資格者台帳の更新と作成に活用)
- 導入効果(レポトンはkintoneのデータをkintone外で利用するときのハブになっている)
- 今後の展開(写真のデータ保存や活用を効率化していきたい)
導入背景:イベントでソウルウェアを知った
事業内容について教えてください。
(常務取締役 畑野氏)
會澤高圧コンクリート株式会社は、1935年に北海道静内町で創業し現在89年目を迎える総合コンクリートメーカーです。主な事業内容は、プレキャスト/プレストレストコンクリート事業、レディミクストコンクリート事業、コンクリートパイル事業などです。従来のコンクリートに特化するだけではなく、私たちにしか提供できない付加価値をつけた”自己治癒コンクリート”や”低酸素コンクリート”などの様々なコンクリート製品の開発にも力を入れています。
(札幌支店次長 長谷部氏)
コンクリート製品の中でも我々が所属する未来開発本部ではH型PCパイルという製品を扱っており、この製品は小規模な住宅向けの地盤補強材に利用されています。
設計、お客様への提案、現場工事(機械の手配や配車管理など)まで一貫した対応を行い、お客様へ安全安心をお届けしています。

ソウルウェアとの出会いのきっかけを教えてください。
(畑野氏)
2015年に開催されたサイボウズ社主催のkintone hackでの登壇発表を見て、「この会社だったらどうにかしてくれそう!」と思い声をかけました。その運命の出会いから、何度か受託での開発を依頼し、現在はレポトンを活用しており長い付き合いになります。
(※当時はソウルウェアは受託開発がメインの事業展開をしていましたが、現在は受託開発は行っておりません。)
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kintoneの導入の経緯と現在の使用用途を教えてください。
(畑野氏)
入社当時H型PCパイル自体は既存の事業で存在しておりましたが、新しく住宅基礎に展開する新規事業の立ち上げに携わっていきました。
人員配置替えのタイミングで、15人いたメンバーが3人になりマンパワーで行っていた業務が溢れてしまう危機的状態になってしまいました。
ここで当時の上司からkintoneという情報共有に良さそうなシステムがあるよということでkintoneを知りました。
スタートは、とにかく離れたチームメンバーとのスムーズな情報共有が目標だったため、トライアル中にいくつかアプリを作り「システムスキルが無い私でもデキる!」とわかり、導入を決めました。
(設計担当 大山口氏)
現在H型PCパイル事業では、お客様からの設計依頼や見積依頼の管理にkintoneを利用しています。
以前はスプレッドシートで共同編集ができなかったり、お客様との連絡方法はGメールのため対応者が不在で対応内容が不明だったりしてたくさんの課題がありました。
現在は、設計担当5人で同時に該当のアプリでデータを参照・入力したり、対応履歴や進捗を相互に確認し合いながら情報共有ができています。


利用方法1:取引先への報告書作成業務に活用
報告書作成業務について詳しく教えてください。
(施工統括補佐 菊地氏)
工事が終わったあと取引先へ工事の内容を報告するためにこの報告書作成業務を行っています。
報告書には工事の概要、図や写真、様々な測定値や記録表などのたくさんの情報をまとめて記載していますが、工事が終了後約1週間くらいの納期で作成が必要な業務です。
kintoneとレポトンを導入する前は、1ヶ月分の全てのデータをExcelブックでVBAを駆使して作成していました。Excelブックには報告書以外にも工程管理や配車表、売上進捗の管理も行っていました。
ご依頼頂く物件には物件ごとに主担当や作業担当がおり、それぞれが共通のExcelを利用します。
社員ごとにExcelのVer.が違うことでの予期せぬエラーや、共同編集ができないことが課題でした。
さらに、一番困った出来事としてはある日突然上書き保存した際にブック内のマクロが消失する現象が発生してしまいました。
非常に困ったこのタイミングが業務改善のきっかけとなりました。

“報告書”の現在の作成フローとその効果を教えてください。
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(菊地氏)
はじめに、1つのExcelブックで行っていた報告書、工程管理、配車表や売上進捗の管理についてkintoneでやるものとやらないものと切り分けを行いました。
報告書と売上についてはkintone移行を行い、その他(工程管理と配車表)はExcelのままのフローにしました。Excelについては工程や配車を管理する主担当が入力を行い、主担当以外でも入力が可能なその他の業務はkintoneに移行したイメージとなります。

現在はkintoneに施工写真アプリを構築し、そちらに現場情報/売上進捗管理/現場施工写真/報告書進捗管理の内容を入力しています。
このアプリからレポトンを利用し、報告書に必要な現場基本情報と写真をExcelに出力しています。レポトンで出力したExcelを別の報告書作成用のExcelブックのマクロで呼び出すと報告書の書式に整った形で成形されるフローです。
以前のやり方では共通のExcelブックにある情報をコピー&ペーストや手入力をして報告書を作成していました。
改善後は、報告書に一から情報を手入力する作業が減少し、1件あたり3分~5分の時間が短縮されているかと思います。年間で約4000件ほどの工事があるため、年間で約16,000分(265時間)の時間を生み出すことができて助かっています。


利用方法2:警察署へ提出義務のある通行禁止道路通行許可申請書の作成に利用
通行禁止道路通行許可申請書について詳しく教えてください。
(菊地氏)
施工現場に地盤補強材をデリバリーと施工する時には、運搬するための大型車や特殊車両が必要です。我々はこの車両の手配も行いますが、一般住宅の周辺道路は広い道路ばかりではないため、普段大型車などが進入できない大型貨物自動車等通行止めの標識がある道路にも配車をする場合があります。
この際に事前に所轄の警察署へ通行禁止道路通行許可申請書という書類を紙で提出し許可を取得する義務があります。しかも郵送は禁止で窓口が空いている時間に原本を持参して、提出が必要なため、工事のスケジュールに合わせて確実に業務を行う必要があります。
その許可申請書と合わせて通行車両の詳細など必要な書類をkintoneとレポトンを活用して出力しています。

“通行禁止道路通行許可申請書”の出力の場合の利用方法とその効果を教えてください。

(菊地氏)
kintoneの大型進入禁止書類作成アプリに必要なデータを日々入力しています。こちらには工事に手配する車両番号や車検記録、運転者の氏名や免許証の情報などを登録しています。
krewSheetも併用しており車検証の期日が近い車両などは色を赤字にしたり、許可証に記載する必須項目を緑色背景にしたりしています。
緑色の背景の項目を入力後、kintoneの該当レコードの詳細画面でレポトンの出力ボタンをクリックすると、適切な項目が申請書に転記されてPDFが作成されます。
以前は一つ一つの情報を手作業で申請書にまとめ、付随する関連書類の準備まで1工事に対して約2時間ほど作業時間を要していました。
現在は日々の入力をkintoneへのルーティーン作業で行っておけば、レポトンを利用し15分程度で全ての提出物の準備を行うことができるようになりました。
普段の業務で手一杯の時に時間の読めない仕事が最優先で降ってくると気持ちに余裕が無くなるものですが、備えあれば憂いなし、このアプリのおかげで作業が捗っています。

利用方法3:社員の有資格者台帳の更新と作成に活用
“有資格者台帳”の使い方とその効果を教えてください。


建設業では現場作業者の健康状態や資格の情報を元請け会社に提出が必要な場合があります。健康状態は年に一度の健康診断の情報、資格についてはそれぞれの更新に合わせてデータの更新が必要です。
レポトン導入前は各個人が自身のデータを保管していたため、書類の提出が必要なたびに電話やメールで社員に個別に確認をとりExcelに手入力して書類を作成していました。
導入後は管理の方法をkintoneに集約し、日々自身のデータを更新してもらうようにしています。
ある程度のデータは更新されているので、元請け会社に提出が必要なタイミングでkintoneのレコードの内容をチェックし確認が必要な部分のみ個別に連絡をして確認をとります。
書類作成に関してはレポトンの出力ボタンさえ押せば手間なコピー&ペーストも不要で必要な書類が作成できるようになりました。
また、レポトンはkintoneの添付ファイルのフィールドに登録している画像の出力もできるので、いちいち画像を読み出して貼り付ける作業も不要です。
kintoneとレポトンを利用することで、いつでもデータが共有されていて、いつでも確認しダウンロードできるというノンストレスな状態にすることができています。

導入効果:レポトンはkintoneのデータをkintone外で利用するときのハブになっている
レポトンの導入効果について教えてください。
(長谷部氏)
これまでご紹介してきたそれぞれの事象では時間の短縮やデータ整理時の煩雑さの解消などが効果に当たると思います。
もっと大きな視点で見ると、データをkintoneに登録し蓄積ができる状態から、そのデータを利用して外部関係会社へ依頼や報告をする際に整った書面に出力するケースで大いに役に立っています。
特に建設業ではまだまだ電子データよりも紙での出力が多い業界のように思いますが、kintoneの電子データから紙へのデータ化のブリッジとしての役割をレポトンが担っているように感じます。
今後の展開:写真のデータ保存や活用を効率化していきたい
今後の展開について教えてください。
(畑野氏)
帳票関係は、どこの部署でも何かしらで必ず必要な物です。レポトンの良いところを伝えながらkintoneと一緒に広めて社内の業務改善を進めて行けたらと思います。
レポトンはkintone内で設定が完結できる特徴があり、そのおかげでアプリごとに設定の管理者を定めることができます。この点は今後の新しい活用において、ポイントとなると考えていて、現場に権限を譲渡しシステムのプロを増やして現場で業務効率を進めていくような流れも加速すると嬉しいです。
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(長谷部氏)
情報をkintoneに載せ替えた後のデータの活用には絶対必要になってくると考えています。
(レポトンに限った話ではないかもしれませんが)写真データを報告に使うケースが多いので、現地で写真を撮って保存し出力するまでの効率化は今後検討していきたいと思っております。

株式会社ソウルウェアでマーケティング部に所属している中村です。
ソウルウェアでのマーケティング業務のかたわら、副業にもチャレンジしています。またプライベートでは二児の母でもあります。
忙しく働く毎日ですが、より生産性を高くかつ余白も生み出すことができるような働き方を目指して日々精進しています!未来の働き方のヒントを発信していけたらと思います。