自治体事例:フロントヤード改革にkintoneとレポトンを活用(静岡県裾野市)

レポトン導入事例紹介
静岡県裾野市の庁舎の外観写真

業種:行政自治体

事業規模:350人

利用用途:

・おくやみコーナーの窓口業務での帳票作成

・手続き用の申請書類の作成

会社HP:https://www.city.susono.shizuoka.jp/index.html

裾野市は先駆的なモデルとして総務省から選定を受け、フロントヤード改革に注力して取り組んでいる自治体です。本市は、多様化する業務にソリューションを合わせていくDXのスタイルに変革をすべく、kintoneを含めたノーコードツールへのチャレンジを始めます。その中の一つの施策であるおくやみコーナーの仕組み化についてお話をお伺いしました。庁内13もの課が参画したプロジェクトをもとに、市民目線のDXの取り組みについて紹介します。

ポイント
多様化する業務にソリューションを合わるスタイルチェンジに成功
ノーコードで設定が完結するところがレポトン採用の決め手
おくやみコーナーの仕組み化でワンストップ窓口を実現

目次

導入背景:「ノーコードで設定が完結する手軽さ」が決め手

裾野市について教えてください。

(デジタル部業務改革課 中原氏)
裾野市は地名の通り、富士山の裾野に広がる、箱根や伊豆など観光地からの接続の良い立地の自然豊かなまちです。左右対称に見える富士山の稜線が自慢で、ウェブサイトではライブ写真を公開しており、12月〜3月の雪が降る季節はきれいな富士山を見ることができるので、ぜひご覧ください。

行政の取り組みとしては、現在はフロントヤード改革に注力しています。来庁者の窓口手続がスムーズに完了できるように、サービスデザインの観点をもって業務改革に取り組んでおり、大規模なレイアウト変更を含めて進行中です。

稜線が美しい富士山の手前に2つのカラフルな熱気球が浮かびコントラストが素晴らしい写真
裾野市から望める熱気球と富士山

レポトン導入前の課題を教えてください。

(デジタル部業務改革課 中原氏)
令和5年にデジタル部が発足し、業務改革課という部署が初めて作られました。業務改革課ができる前にも、各部署では個別に改善が行われていましたが、市民がサービスを受ける一連の流れを想定した抜本的な業務フローの改革には着手できていませんでした。こういった背景から、部分的な課題を解決するためにシステムを導入することがこれまでの調達プロセスの主眼となってしまっていて、業務フローの変更が伴っていなかったことが原因でシステムを最大限に活用できていない場面が発生していたように感じていました。自治体DXの原点として、人口が減り、職員も減り、業務が多様化していく社会背景においては、業務プロセスを抜本的に見直し、その結果浮き彫りとなった足りない要素をシステムで補うという思想が、いま必要な取り組み方法であると考えています。

他方、市長により令和5年6月に「窓口における受付・発券システムの導入」「おくやみ窓口の創出」「書かない窓口」を柱に、各課間の連携を深め、スピード感をもった窓口改革に取り組む方針が出されました。この窓口改革が喫緊の課題となり、現在進めているフロントヤード改革につながっています。

裾野市はデジタルで日々の体験に改革をというDXのビジョンを掲げており、窓口の施策を多く進めている
裾野市のDXのビジョンと取り組み施策

サイボウズ社の自治体応援プログラムを知ったきっかけや参加の経緯を教えてください。

(デジタル部業務改革課 中原氏)
サイボウズ社の「自治体DX応援プログラム」キャンペーンに参加する前年に、一度kintoneの1ヶ月無料トライアルを個人的に申し込んでいました。その時は業務の忙しさもあって、ノーコードツールの醍醐味を味わうことなく終えてしまいました。

そこからずっとkintone自体には興味がありましたが、この当時は、「いろいろできそうだが、何に使っていいかわからない」という、そもそもソリューションドリブンな考え方になっていました。この考えを課題ドリブンに置き換えたときに、手軽にプロトタイプが作れるノーコードツールが効率よく業務改革が進められると考え、kintoneが有効なのではないかと、改めて考えるようになりました。具体的な導入や検討を進める上で、自治体事例などを調べていく中で自治体向けのキャンペーンの存在を知りました。

キャンペーンでは、サイボウズ社からkintoneの運用や実務的な活用事例、プラグインの使い方など、幅広くバックアップが受けられることから、より具体的に検討ができるのではないかと思い参加を決めました。全職員分のアカウントを1年間無料で作成できて、しかも連携できるプラグインなども一緒にお試しができることも参加しやすい理由の一つでした。

色々なツールの中でレポトンに決めた理由を教えてください。

(デジタル部業務改革課 中原氏)
キャンペーンの中では複数の帳票作成ツールを試せるため、数社のサービスの試用をさせていただき、比較検討を行いました。最終的にレポトンを選んだ一番の決め手は直感的な操作感で、ノーコードで設定が完結することです。この手軽な設定や操作感が、今後のメンテナンスを自庁で継続していくための要件として重要であると感じました。

レポトン導入の決め手は設定が簡単で直感的に操作できることでメンテナンスを庁内で行うことができる点
レポトン導入の決め手

レポトンの利用状況について教えてください。

(デジタル部業務改革課 中原氏)
kintone自体は全職員にアカウントを用意し導入しました。レポトンは管理者なども絞ることなく運用ができるツールのため、kintoneのユーザーが誰でも利用できるようになっています。

利用方法:おくやみコーナーでの申請書作成に活用

おくやみコーナーでの利用方法とその効果を教えてください。

お悔やみコーナーでの書類作成に活用し手続き案内の効率化につなげていることを記載
おくやみコーナーでの利用方法と効果

(デジタル部業務改革課 中原氏)
おくやみコーナーは、亡くなられた市民の遺族が市役所でしなくてはならないおくやみに関する手続きを支援するためのワンストップ窓口として令和5年12月に開設しました。市長による窓口改革の方針の宣言から、半年後には運用開始できました。このスピードでのおくやみコーナーを開設するにはkintoneやレポトンが必須で、自前で構築しました。

おくやみコーナーを開設する前は、ワンストップでの対応はできていませんでした。市民はご家族が亡くなられた状況に戸惑う中で、複雑な手続きを複数の窓口を巡回しながら行う必要がありました。

現在は、kintoneとプラグイン群を活用し、庁内で情報連携するためのデータベースや予約管理、事前の帳票作成などの仕組み構築し、ワンストップ窓口を実現しています。

おくやみコーナーの利用の流れ


具体的な流れとしては、まず、ご遺族の方(実際は葬祭事業者様が手続きに来られる)へ、死亡届の手続きの際におくやみガイドブックと窓口予約案内書を渡します。案内書には予約サイトに接続されるQRコードが印字されています。この予約システムはkintoneと連携できるマイページ製品とフォーム製品を組み合わせて構築しています。ご遺族の方が予約した日に再び来庁すると、窓口では手続き一覧表とそれぞれの手続きに必要な申請様式が準備された状態になっています。

窓口では死亡届の情報からkintoneの「庁内連携アプリ」に亡くなられた方の情報が登録されます。様々な手続きに必要な申請様式は、死亡届が提出されてから「庁内連携アプリ」内でそれぞれの課が亡くなられた方の情報を確認し、必要な情報を各職員が登録をすることで事前準備を可能にしています。出力する個別の申請様式を作成するシーンでレポトンを利用しており、kintoneからボタン1クリックで作成しています。

事前に分かる情報を印字した状態で手続き様式を用意できるため、来庁された市民の方が手書きする項目を大幅に減らすことができます。しっかり中身を確認する時間をとり、同意のサインを頂くだけで良い様式もあります。様式と一緒に出力される手続き一覧は、必要な手続きの「要」「不要」を明記し、一緒に渡しているガイドブックの掲載ページ数も記載しているため、その場でできない手続きも漏らさないようにすることができます。

レポトンで出力している帳票イメージ

社内浸透:意見をタイムリーに反映し最適なシステムへ

レポトンの展開方法や工夫について教えてください。

(デジタル部業務改革課 中原氏)
業務改革課では、庁内課題を聞き取るための相談会を実施していました。相談の中で、kintoneなどが課題解決にアプローチできそうな場合は、方法の一つとして提案します。複数の課から相談があり、kintoneやレポトンが利用できそうなケースではその活用方法を紹介し業務改善に繋げていきました。

業務の運用面では、おくやみコーナーの窓口設置から約3ヶ月間の期間は、数多くの改修作業を行ないました。kintoneのスレッド機能を利用して、修正希望案を募り、適宜相談やリリース作業を行っていました。実際に窓口対応している職員とタイムリーに連携を図ることも大事なポイントだったように思います。また、すぐに解決するように心がけ、「要望が改善につながる」実感が現場の改革意識の向上にもつながっていると感じています。

導入効果:庁内内製でワンストップ窓口の構築を実現

レポトンの導入効果について教えてください。

(デジタル部業務改革課 中原氏)
おくやみコーナーのプロジェクトは13もの課を巻き込むプロジェクトに育ちました。このプロジェクト全体としては、年間230時間もの作業時間の削減につながっています。このうちレポトンの影響範囲としては、連携用の帳票作成にかかる5分が1分に削減したこと、手続き一覧表の作成にかかっていた5分が0分に削減したことです。この2点により庁内連携が効率化し、1回の手続きにあたり9分の削減で年間約575件分に波及しますので、年間約86時間の削減効果があったと見込んでいます。

先にも少し触れましたが、おくやみコーナーで利用するkintoneアプリの構築は庁内の職員のみで行うことができました。改修案を出すのも、修正をするのも職員です。そのため、当初の方針であった、「深堀りした業務フローに合わせて必要な機能要件を特定し実装する」取り組みも実現でき、BPR(業務改革)を実感する取り組みとなっています。プロトタイプとして作成したシステムが実運用に乗ったことも、経費の面でもメリットがあったと思いますが、今後の継続的なメンテナンスなど、新たな課題も浮き彫りになってきています。

おくやみコーナーに来庁した住民からのアンケートでは、何度も手続きに行かなくても良いことや一つの窓口で相談ができたことなどへのポジティブな意見が多く集まりました。注力して取り組んでいるフロントヤード改革において、ワンストップ窓口へ変革を遂げることができたと思います。また、予約をしてもらえることで事前に書類が用意できたり、案内を準備できたりするなど、職員負荷の軽減にもつながっています。これによって職員の時間も、市民の時間も有効に使えるようになり、事務的な相談以外の部分のお話が聞けるようになったことも大きな効果であると実感しています。

kintoneとレポトンで仕組み化したおくやみコーナーの効果

今後の展開:市民の声や心に寄り添える自治体DXを推進

今後の展開について教えてください。

(デジタル部業務改革課 中原氏)
今後のkintoneやレポトンの活用の拡大については、庁内事務の課題として挙がっている、時間外申請や勤怠管理などの取り組みを進めたいと思っています。他にも各課で業務改善の悩みはあると思うので、しっかりと問題点を深堀して、業務改革に活用していきたいと考えています。

デジタル化と言う言葉だけだと業務の効率化を第一とする少し冷たい印象を持ってしまうかもしれませんが、本市のDX化では時間などの効率化だけではない価値を追いかけていきたいと思っています。市民の生活を豊かにする、市民の声に心により添える対応ができるようにするなど、血の通ったDX化に取り組めるように日頃から心がけていますし、これからもそうありたいです。

本年度取り組んでいるレイアウト変更もその一つで、窓口のワンストップ化をさらに進め、必要な手続きをスムーズに行っていただける窓口と、そのほかじっくり話をして相談をしたい窓口を分けて設計しています。DXの結果生み出せた時間を市民に還元できる取り組みを続けていきたいです。

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