
株式会社コヤス工業所は愛知県に拠点を構え、創業50年を超える金属塗装業の老舗企業です。事業を展開する金属塗装業界では、いまでも旧態依然としたアナログ式の業務管理が行われている会社が少なくありません。コヤス工業所も例にもれず、以前は業務管理や書類発行が全て紙ベース、それも手書きで行われていました。現在は代表取締役社長の子安直人氏のリーダーシップのもと、kintoneとレポトンの利用を通した業務効率化、ペーパーレス化が推し進められています。今回は子安氏にレポトン導入にいたる背景から活用方法、さらに今後の展望について詳しくお話いただきました。
| ポイント |
| レポトン導入により帳票作成における手書き業務の90%を削減できた |
| kintoneとレポトンのバーコード生成機能を工数管理に活用し生産管理のトレーサビリティの確保を推進 |
| レポトンは同社のペーパーレス化促進の柱として機能している |
目次
- 導入背景(「自由なフォーマットが利用でき、Excelの選択肢もあること」が決め手)
- 利用方法1(見積書/納品書/請求書の帳票出力に活用)
- 利用方法2(作業指示書作成を通じて工数管理や生産管理に活用)
- 社内浸透(帳票バリエーションが多い拠点で試験運用を実施しトライアンドエラーを実行)
- 導入効果(手書き業務の90%の削減とトレーサビリティが確保された生産管理に貢献)
- 今後の展開(現場作業の電子化・ペーパーレス化を推進していきたい)
導入背景:「自由なフォーマットが利用でき、Excelの選択肢もあること」が決め手
事業内容について教えてください。
(代表取締役社長 子安氏)
コヤス工業所株式会社は、主に工作機械、産業機械における金属塗装業を事業として展開している会社です。塗装業のなかでも焼付塗装という分野を得意としており、愛知県内で4拠点の工場が稼働しています。当社の大きな特長は保有設備です。塗装作業後の乾燥工程で使用する焼付乾燥炉は8mの長さを設置しているため、重量物や長尺物などの大型塗装に対応可能です。また、4拠点ある工場を稼働させることにより、高品質を維持しながら大量生産、短納期のリクエストに対しても柔軟に対応することができます。


kintoneとレポトンについて導入前の課題を教えてください。
(代表取締役社長 子安氏)
kintoneやレポトンについて、導入前の課題としては大きく2つあります。
1つ目は、紙業務の削減です。見積りから納品・請求まで全ての業務で紙へ手書きやExcelへの手入力などで対応していました。案件終了後の保管・記録も不十分でしたし、記入漏れ、記入間違いもありました。また、当時は請求業務の担当者は1名しかおらず、属人化した業務になっていました。当社の請求先は毎月100社以上あります。請求書は案件ごとに作成をするため、枚数は会社数の数倍に上る分量です。この状況を前にして抜本的な改革の必要性を感じていました。
2つ目は、見積金額の適正化です。人力に頼った運用が故に、適切に記録を残していませんでした。これにより、類似案件やリピート案件があった際にも過去の見積金額と異なる金額で回答をしてしまうケースもありました。過去の記録を電子的に整理して保管することで、過去案件の照会が可能な状態を作り、見積金額の適正化と再現性を向上させることが長く課題となっていました。
色々なツールの中でレポトンに決めた理由を教えてください。
(代表取締役社長 子安氏)
請求業務や見積業務の改善がメインだったため、直結するであろう会計ツールの検討から始めました。検討当初はPCにインストールして利用するソフトウェアを利用していましたが、社内のPCでしかアクセスできないという不便さがありました。
そこでクラウド上で利用可能なサービスを探すことにしました。合わせて生産管理業務の用途にも使える汎用的なサービスが良いと思い、kintoneとクラウド会計ツールの2つのサービスの導入を行いました。しかし、導入した会計ツールでは請求書や見積りのフォーマットが指定のものしか利用できず、自社のフォーマットを反映することができませんでした。
当時kintoneの導入サポートを依頼していた会社から、データベースであるkintoneから自由なフォーマットで出力できるレポトンをお勧めされたことがきっかけでレポトンの検討を始めました。生産管理業務で作成する作業指示書については、案件進行の最中にも現場で変更が生じることが多々あるため、PDFはもちろんExcelの形式でも出力できるというレポトンの柔軟性がとても魅力的でした。他社比較も行いましたが、Excelで対応しているサービスはレポトンのみだったため、そのままレポトンの採用を決めました。先んじで導入した会計ツールはkintoneと連携して売上などの管理をしており、役割を分けて活用をしています。

レポトンの利用状況について教えてください。
(代表取締役社長 子安氏)
現在は当社の全拠点でレポトンを利用しています。業務アプリの対応範囲も日々拡大しており、営業現場とバックオフィスいずれの社員にとっても必要不可欠なツールとなっています。レポトンで作成している帳票の大部分を占めるのが見積書、納品書、請求書などの対顧客に関わる書類です。これらは先方指定の専用伝票を利用している一部の顧客を除き、全てのやり取りで使用しています。また社内で利用する金属塗装の作業指示書の作成もレポトンのExcel出力機能を利用しています。

利用方法1:見積書/納品書/請求書の帳票出力に活用
見積書/納品書/請求書の出力の場合の利用方法とその効果を教えてください。


(代表取締役社長 子安氏)
当社では見積書、納品書、請求書の作成をレポトンで行っていますが、基本になるのは見積書の情報です。まず見積が必要な案件の詳細について、kintoneの案件管理アプリにデータを登録します。そして、案件管理アプリでレポトンの出力ボタンを押下することで、入力したデータを反映した見積書を作成することができます。レポトンには、明細の数に合わせて自動で複数枚の帳票を作成する自動改ページ機能があります。当社の見積は明細が多いため、見積明細の製品数に合わせて複数の見積書が1クリックで出力できるこの自動改ページ機能がとても便利です。
レポトン導入前の見積作成は、windowsPCにインストールした見積専用のソフトウェアに手入力でデータを登録し、そのまま紙に出力していました。そのためリピート受注の際に前回の金額を照会することに多大な労力がかかっていました。現在は、kintone上で案件番号や製品番号などを検索することでレポトンで作成したPDF内のキーワード検索も可能なため、即時に確認が可能になりました。かねてより課題であった見積金額の適正化・再現性の向上にも繋がっています。
受注した場合には製造業務を経て、納品・請求業務へ移行します。以前は複写式の伝票用紙を用いるなどして、納品書や請求書を手書きで作成していました。紙の場合は現物を保管するための場所の確保が必要ですが、レポトンではクラウド上に保管されるため、保管倉庫の収容量に対する懸念がなくなったのも副次的なメリットでした。実のところ、請求原紙の紛失などの可能性も過去にはあったように思います。

利用方法2:作業指示書作成を通じて工数管理や生産管理に活用
塗装指示書の使い方とその効果を教えてください。

(代表取締役社長 子安氏)
塗装指示書は案件ごとの塗装作業について現場従業員に指示をするための書類です。以前は決まった仕組みがなく、Excelを作成したり、紙の図面に手書きをしたり、紙の注文書に手書きをしたりしていました。その後の保存方法も決めていなかったため、検査表を残し、原紙を破棄していたこともありました。金属塗装の工程は大まかに言うと、脱脂→サンディング→マスキング→検査→梱包・出荷のおおむね5つの工程で構成されています。早いものだと、これらの工程が中1〜2日で完了する塗装案件もあります。このように多工程・短納期の案件について、手書きでの工程表の作成や進捗の確認は現場の負担は高かったものの、生産管理ができている状態とは言えませんでした。
現在はkintoneの塗装指示アプリからレポトンで作業指示書を作成していますが、レポトンのバーコード生成の機能を利用して指示書に二次元バーコードを印字しています。kintoneと他社製品のバーコードを読み取ることができるプラグインの活用により、二次元バーコードを用いたタイムスタンプ機能を実装しています。記録は現場端末でバーコードを読み取るだけなので、現場の従業員の負担も大きくはありません。

これにより、作業開始時間と終了時間をスムーズに記録しkintone上で分析を行うことが可能になりました。各案件の工数が適正であったかどうかを振り返ることで、今後の業務改善につなげたり、見積価格決定の際の参考にしています。全ての顧客と案件に対して工数・金額を記録できるようになりましたので、品質の平準化・安定化という側面でも効果がありました。

社内浸透:帳票バリエーションが多い拠点で試験運用を実施しトライアンドエラーを実行
レポトンの社内展開方法について教えてください。
(代表取締役社長 子安氏)
ITツールとは無縁の従業員が一定数いましたので、段階的に導入を進めました。操作方法を従業員向けにレクチャーをしたうえで、簡単な作業からそれぞれの拠点・現場で運用をしていきました。業務改善の一貫として取り組んでいたkintone、レポトン導入活動でしたが、旧来の方法に馴染みがあった一部の現場からは反発の声もありました。そこでは導入の効果やメリットを丁寧に説明したうえで、実務上で依頼するタスクを簡易なもの(二次元バーコードでの読み取り作業のみ)に限定しました。現場の負担に対して十分な配慮をしたうえで、理解を求めました。
レポトンの社内浸透で工夫されたことがあれば教えてください。
(代表取締役社長 子安氏)
検討段階の時点から、レポトンの全拠点導入を見込んでいましたが、まずは1工場に限定した試験運用を1か月〜2か月間程度実施しました。試験運用を実施した工場は当社のなかで最も保有設備のバリエーションが多い拠点でした。その拠点を選択した理由は、多方面の業務で使用することで、効率的にトライアンドエラーが実行できるだろうと考えたためです。また、一番事務職員が多い工場だったため多様な意見が集まりやすいと思っていました。その甲斐あって、試験運用の1〜2ヶ月の間で何度かフォーマットを改善しつつ今の形に近づけていくことができました。
導入効果:手書き業務の90%の削減とトレーサビリティが確保された生産管理に貢献
レポトンの導入効果について教えてください。

(代表取締役社長 子安氏)
レポトンの導入により、見積書、納品書、請求書、指示書発行業務などにおける手書き作業の90%の削減に成功しました。見積書の紙での業務をkintoneとレポトンで電子化することで、過去のノウハウを生かすことができるようになり見積金額の適正化と再現性に繋がりました。営業担当や請求書発行業務の担当者などに属人化することもなくなりました。
また経営的にも全体的にスピード感が生まれたように感じています。問い合わせ対応を例にとっても、以前は先方からの確認事項を一度持ち帰り、確認したあとに回答していましたため、双方に時間の無駄が発生していました。現在では電話を受けた際もkintoneのデータベースを検索して、その場で回答ができるようになり、顧客満足度の向上にも繋がっています。
さらに、kintoneをデータベースとして、レポトンや他社製品を組み合わせた工数管理によって、トレーサビリティが確保された状態になりました。全ての顧客に対して同じ品質で対応が可能になったことで、より安定した生産管理を実現することができました。
今後の展開:現場作業の電子化・ペーパーレス化を推進していきたい
今後の展開について教えてください。
(代表取締役社長 子安氏)
各種工場の設備の検査・点検記録については現在も紙運用を行っているため、そういった日々必要な現場作業のペーパーレス化に取り組みたいと考えています。
設備一覧、品質管理データ、分析データなどkintoneやレポトンの活用を通じて管理したい情報はまだまだたくさんあります。今後も継続的な取り組みを進めていく予定です。

株式会社ソウルウェアでマーケティング部に所属している中村です。
ソウルウェアでのマーケティング業務のかたわら、副業にもチャレンジしています。またプライベートでは二児の母でもあります。
忙しく働く毎日ですが、より生産性を高くかつ余白も生み出すことができるような働き方を目指して日々精進しています!未来の働き方のヒントを発信していけたらと思います。


