<社労士>林先生が説く!労働時間短縮のカギ

”働き方改革”シリーズ第2段!社会保険労務士の林先生が専門家として、企業が取り組むべき長時間労働削減への対策をわかりやすく解説してくれました。
その前に、「働き方改革、なんとなくわかるけど何故やるの?どんなものだっけ?」と思っている方は前回の基本編をチェックしてくださいね。

この記事を書いた人

林 雄次(はやし ゆうじ):はやし総合支援事務所
【ITに強い社労士】として企業の働き方改革をワンストップでサポート。社労士・行政書士といった専門的資格を複数保持している。

企業にとっての長時間労働のリスク

長時間労働は、疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられています。
「長く働けばそれだけ疲れる。」自然な話ですよね。
近年、産業構造・就業構造・産業現場の多様化などの急激な環境変化により、企業にとって長時間労働に伴うリスクは多岐に渡るものとなっており、見過ごせない課題となっています。
例えば、

  1. 従業員の脳・心疾患、身体障害のリスク増大
  2. 政府労災への請求件数増加による保険料上昇、使用者賠償への訴求リスク増大
  3. 従業員のモチベーションが低下→人材流出のリスク増大
  4. (内部告発による)社会的制裁、SNSで会社評価がダウン、ブラック企業のイメージ浸透により、社会的信用が低下し、人材獲得難、最悪の場合は倒産するリスクの増大
  5. 行政からの指導、監督強化により、監査等に対応する時間が余計にかかるリスク増大
  6. 働き方改革法などによる刑事罰の対象となるリスク増大
    (厚生労働省HP:「過重労働による健康障害防止のための総合対策」を一部引用)

6に関しては、時間外労働の上限を守らなかった企業は罰則として「6カ月以下の懲役」または「30万円以下の罰金」が科される恐れがあります。
さらに、程度によっては、厚生労働省によって企業名を公表されます。

仕方がないからやるというよりも、会社を守るために、必須の取り組みとなりつつあります。
まずはできることから、始めていきましょう!

何から始めればいいのか(WHAT、WHO)

では、長時間労働を改善するためには何が必要なのか。
「早く帰れ!」と言うだけでは、何も解決しません。
以下のような活動を継続的に、かつ、複合的に行っていく必要があります。

経営トップの認識を入替える
ー 少子高齢化による労働人口減少、子育て世帯や介護などによる離職等の情勢認識、働き方改革が社会課題を解決するための重要な施策であることの認識を強く持ち、セミナーに参加するなど勉強する姿勢も大切です。

会社からのメッセージ発信
ー 人事部門等所管部署が、またはリーダーが、”自分の言葉で”目的と目標を立てて実施する。決して「そういう世の中の風潮だから」「会社の決定だから」という意識ではいけません。

労働時間の見える化
ー まずは会社の状況を把握することも大切。例えばkinconeなどの勤怠管理ツールを利用して残業や有給消化率をきっちりと管理するといいでしょう。

勤怠管理・交通費精算クラウドのkincone(キンコン)ならダッシュボード画面で一目瞭然

新しい働き方の導入
ー 時短制度、テレワーク、シフト勤務、フレックスタイム制等の導入。そして、導入しただけでは終わらせずそれらを推進する風土の醸成も大切です。

従業員を巻き込む、モチベーションを低下させない
ー そもそもが従業員の心身ともに健康を守る取り組み。ですが、「残業失くす代わりに給料はカットだ!」としては更なる不平不満が生まれます。残業時間が減っても給与を激減させないように配慮するなどの配慮が必要です。

学び、正しい情報で理解をすること
法規制、ワークルールの正しい理解、eラーニング等による継続的な社内教育を積極的に行うこと。会社全体で、前向きに取り組むためには必須です。

①〜⑥のほとんどは、何人かを巻き込んで長期的に取り組んで行く必要のあるものです。
しかし”③労働時間の見える化”に関してはツールを導入すればあっという間に完了するものでもあるので、何から取り組めばいいかわからない人はまず、③から検討するのもおすすめです。

どうやって改善するのか (HOW)

では、 どうやったら残業は減らせる?組織をどんな風に整備する必要がある? については何が必要でしょうか。答えは、「適切な業務配分」となります。

しかし、 いうのは簡単なのですがコレを実際に行うのは非常に難しいです。

そもそも、その仕事をする必要があるのかを含めた棚卸しがまず必要で、それには会社として何が重要なのか、自分たち自身の定義づけを改めて考える必要があるかもしれません。
つまり一部の部署だけではなく、全社で取り組むこと(=経営層までもが関与)が必須ですね。

棚卸しが済んだら、次にその仕事の振り分けをしたいところですが、ちょっと待って下さい。
1つの仕事の大きさが、大きすぎたりしないでしょうか。
実は、仕事とされている一つのまとまりも、細かい作業に分けていくことができることが多いはずです。そうして分けていくことで、「○○さんじゃないとこの仕事はできない」というのが、実はそうでなかったということも多くあります。

例えば、社会保険関係の手続き業務は社労士でないと代行ができない業務ですが、実際には情報を転記したりと単純作業も多いんです。私の運営する<はやし総合支援事務所>の場合は細かく作業を切り分けて社員同士で分業して進めているので、私の負担が軽減でき、より重要な業務に時間を割くことができています。

一方で、仕事を細かく分けると管理すべき作業の数は多くなります。
そのため、できれば進捗情報の共有を行う仕組みを整備(クラウドツールを利用するなど)して、漏れがないようにしたいところです。

ここまでの準備ができたら、あとは取り組んでいくだけ。
でも”仕事”というものは毎日状況が変わっていきますので、日々見直して自社に合うやり方を追求してくことも必要になりますね。

もちろん、仕事の日々の残業管理(管理職はもちろん、職場単位や、同じ職層での声の掛け合い)も重要です。勤務時間を管理しないとコレができないのはいうまでもありませんね。

助成金を使う

国の方針としても労働時間の短縮には力を入れていることから各種助成金によるサポートが受けられます。
時間外労働改善助成金」として
時間外労働上限設定コース”、”勤務間インターバル導入コース”、”職場意識改善コース”などがあります。
Kinconeのような労働時間を管理する仕組み・ツールの導入はもちろん、業務の効率を上げてくれる機器やシステムなど、様々な用途に対して75%程度の経費が助成されたり、企業の負担が大幅に軽減されますので検討してみるのがおすすめです。
ただし、助成金の受給には様々な要件や順を追った手続きが必要ですので、社会保険労務士などにサポートしてもらうとスムーズだと思います。

まとめ

以上の通り、企業においては、長時間労働に対して今まで以上に積極的な対策を講じる必要があります。そしてそれは、事業者だけでなく、労働者・関係者等が一体となり、対策を総合的かつ継続的に実施していく事が重要です。

また、短期間で様々な対応を行うことは難しく、一定の期間が必要ですのでしっかりと計画を立てて進めていきましょう。

社会保険労務士として専門家の林先生に寄稿していただきました。
2020年4月には全国の中小企業も本格施行され、ますます関心が高まる「働き方改革」ですがソウルヒトログではこれからも継続的に情報発信を行いますのでお楽しみに!