新連載:ベンチャー企業の労務を理解しよう!

コラム

労務戦略を考えよう

ソウルウェアは社員数(代表取締役を含む)12名、設立10年以内の小規模な会社です。

勤怠管理・交通費精算クラウド「kincone」を提供する企業として、同じくらいの規模の会社や、もう少し中規模な会社向けに人事・労務管理の知識をコラム形式で連載していこうと思います。

今回は、基本的な「ベンチャー」「労働契約」というワードへの理解を深めていきます。

ベンチャー企業の定義とステージ

まずはこのコラムシリーズ内で扱うベンチャー企業の定義づけと、ステージについてまとめていきたいと思います。

ベンチャー企業とは

企業として新しいサービスや事業に取り組んでいく(ベンチャービジネス)ことを指します。よって、明確な資本金や創立年数などで定義があるわけではなく、多くは新規起業した事業の場合が多いようですが、既存の企業が新規事業を起こした場合もベンチャーと言えます。

ベンチャーの4つのステージ

ベンチャー企業には事業成長度や従業員の規模によって、4つのステージに分けることができます。

シード

商業的事業がまだ完全に立ち上がっておらず、研究および製品開発を継続している企業

アーリー

製品開発および初期のマーケティング、製造および販売活動に向けた企業

エキスパンション(ミドル)

生産および出荷を始めており、その在庫および販売量が増加しつつある企業

レイター

持続的なかキャッシュフローがあり、IPO直前の企業

※4ステージの各定義分は一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンターの『ベンチャー白書』から引用

創業期(シードステージ)の雇用と労働契約

シードステージは立ち上げ間もない組織で、役員を含めて社員数が10名に満たない場合も多いです。人数が少ないので、理念の共有やコミュニケーションが取りやすく組織の構築で大きな問題は起こりにくいでしょう。一方で、資金や経済資源が少ないため、労働法を遵守しながら事業を進めていくことが難しい場合も多いです。

ここでは、改めて労働契約について基本的な理解を深めます。

労働契約と業務委託契約

法律上は、雇用=労働契約を締結することを指します。”労働契約法”という法律があって、第6条には「労働者は使用者(会社)の指示に従って労働し、使用者がそれに対して賃金を支払う義務が生じる」というような内容が定められています。

これに対して”業務委託契約”というのがあります。

労働契約において、労働者は使用者の決めたルールに従って業務を行わなければならないのに対して、業務委託契約の場合は業務を遂行する側の裁量に基づいて、期限までに業務を完了していればOKという点が大きく違います。

また、業務委託契約では社会保険や労働保険への加入が義務付けられません。
このためシードステージのような段階では、正社員を雇わず業務委託者を活用するケースなどがあります。

しかし、労働契約か業務委託にあたるのかは、実態で判断されます。
業務委託契約という名前でも、実際の勤務方法が労働契約になっていれば労働関連法規則が適用されるので、注意が必要です。

労働者に対して会社が負う義務

労働関連法規は、会社に対して様々な義務を負わせます。

  • 賃金の支払い
  • 労働時間の管理や休日の確保
  • 年次有給休暇の付与
  • 育児介護による休業
  • 社会保険や労働保険への加入
  • 就業規則の届出
  • 安全衛星の確保やメンタルヘルス対策など

また、労働契約に適用される規制もあります。

  • 解雇規制
  • 契約更新拒絶規制
  • 時間外、休日労働の原則禁止
  • 差別的扱いの禁止
  • 賃金支払いに関する原則

労働契約を結んだ労働者には、職務専念義務があります。労働時間中は職務に専念し私的な活動は控えるというものです。つまり労働者は、働いている会社からの賃金のみで生計を立てているため、最低限の生活が送れる給与保障はもちろん、休日や労働時間の管理によって健康も守られなくてはいけません。

また、会社と労働者(社員)のパワーバランスは、会社の方が強い状態にあります。なので法律が会社に義務を負わせることによって力制限をかけて、社員を保護しているのです。

まとめ

労務管理について学んだり計画を立てる大前提として、労働管理の基本をしっかり理解しクリーンな環境作りに努めましょう!

次回は採用募集〜採用時に守らなければいけないことについてまとめていきます。

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