
「企業は人なり」という言葉がある通り、どの企業にとっても人材は非常に大切なポイントになります。こと創業間もないベンチャー企業にとっては、採用にかけるコスト・採用した人材が組織にもたらす影響を考えると慎重に計画しなければいけません。
この記事では採用活動で気を付けたい法律、労務上の考え方を解説したいと思います。
一般的な採用の流れ
社員を採用するスタンダードな手順は、
- 募集
- 採用試験(SPIや独自の考査、または面接など)
- 内定
- 入社(試用期間→本採用)
というのが一般的です。
それぞれの過程で気を付けるべきポイントがあります。
気を付けるべき3つのポイント
採用募集
基本的には自由な採用が認められていますが、採用される側の権利を保護する意味で一定の制限があるので募集要項を決めたり、求人広告を掲示する際は注意しましょう。
- 性別による差別の禁止(男女雇用機会均等法5条)
- 年齢制限の原則禁止(雇用対策法10条)
- 止むを得ない理由で65歳以下の年齢を下回って採用を限定する場合は、求職者に対してその理由を示さなければならない(高年齢者雇用安定法18条の2)
- 一定比率以上の障害者の雇用の義務化(障害者雇用促進法37条、43条以下)
採用試験
新卒採用では筆記試験を過程に含めている企業も多いです。一般教養のテスト〜適性検査まで、企業によって試験の内容も様々です。中途採用の場合は、試験を設けている企業とそうでない企業があり、とくにベンチャー企業では筆記試験なしで面接を重ねる場合が多い印象です。
採用のミスマッチを防ぐ意味では有効ですが、試験もコストがかかるものなのでどちらを重視するかは慎重に検討する必要があります。
内定
通常、採用試験(面接)を突破し入社を決めた人材に「内定通知書」を出します。他社に貴重な人材を奪われない為に出すことが多いこの「内定通知書」ですが、法律上では「始期付解約権留保付雇用契約の締結」と言われます。
つまり、この内定通知を出した段階で、雇用契約が成立するのです。
よってむやみに企業側が内定取り消しを行うことはできません。
ベンチャー企業の場合は中途採用がメインですが、ほとんどが前職でのスキルやこれまでの経験が採用の決め手になるでしょう。内定通知書には「これがなければ採用はしなかった」という能力や経験を明記しておくと、万が一、内定通知を取り消すような事態になっても雇用契約の成立を巡ってトラブルになることを避けられます。
まとめ
これだけ日本国内にも多くの企業があり、多様化する働き方や企業スタイルですが採用については丸っきり自由というわけではありません。知らぬまに法律違反にならないよう、知識を身につけて採用活動を行うようにしましょう。
次回は採用時に必要な書類について詳しく解説していきます。
※この記事のシリーズは『ステージ別ベンチャー企業の労務戦略』(GVA法律事務所著/中央経済社発行)を参考にして書かれています。
soulwareの広報担当、サリーです!「幸せな働き方」への情報を中心にソウルウェアの様々な取り組み、イベントの様子、たまには雑談などを発信していきます。